私にみえている世界

こんにちは。

何者 感想

お疲れ様です。yasusususuです。

 

映画「何者」を観てきました。

この映画は、朝井リョウ著の同名小説を映画化したものです。

同小説は、直木賞に選ばれた作品です*1

 

私は、朝井リョウさんの作品が好きで、この「何者」も好きな作品だったので、映画化が発表された時から公開を楽しみにしていました。

 

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以下、ネタバレを含みます。

 就活って、トランプでいうダウトみたいなもんなんじゃねぇの。一を百だっていう分には、バレなきゃオッケー。

 

この作品は、就職活動に臨む大学生の様子を描いたものです。

映画でも、登場人物たちがエントリーシートの添削をし合ったり、ウェブテストや、筆記試験、グループディスカッションや、集団面接と、就職活動におなじみのシーンが登場します。 

 

想像力。想像力が足りない人ほど、他人に想像力を求める。他の人間とは違う自分を誰かに想像してほしくてたまらないのだ。

 

この作品のテーマの一つに「想像力」というものがあると思います。

この作品は、主人公の二宮拓人(以下、「拓人」と言います。)の独白と登場人物たちの会話を中心に構成されています。

 

海外インターン/バックパッカー/国際教育ボランティア/世界の子どもたちの教室プロジェクト参加/【美☆レディ大学】企画運営/ミヤマ祭実行委員会後方班班長/建築/デザイン/現代美術/写真/カフェ巡り/世界を舞台に働きたい 

 

例えば、これは拓人と同じマンションに住む、就活仲間の小早川里香(以下、「里香」と言います。)のtwitterのプロフィールです。

小説には、twitterやinstagramなどの登場人物のSNSの情報が多く登場します。

SNSを通じて、読者である私たちは、登場人物の人となりを「想像」することができるようになっています。

 

「就活をしない」と同じ重さの「就活をする」決断を想像できないのはなぜなのだろう 。

 

作品には、舞台で生きていくと決め大学を辞め就職活動をせずに公演を繰り返す烏丸ギンジ(以下、「ギンジ」と言います。)と、里香の彼氏で里香と同棲している就職活動に否定的な宮本隆良(以下、「隆良」と言います。)が登場します。

ギンジたちと、就職活動をする拓人たちとの対比により、拓人たちの就職活動の輪郭が明確になっていきます。

 

映画では、ギンジの舞台や、隆良のルックス、里香と住む部屋が表現されています。

ギンジの舞台の先鋭的だけどよくわからない感じや、隆良の鼻につくおしゃれさが、腑に落ちる形で表現されており、一見の価値があると思います。

あー、こういうやついる。きっと、そういう共感ができると思います。

 

 「たった一四〇字が重なっただけで、ギンジとあいつを一緒に束ねて片付けようするなよ」

「ほんの少し言葉の向こうにいる人間そのものを、想像してあげろよ、もっと」

 

SNS等で個人が情報を発信するようになって、実際に会って話をしなくとも発信者の人となりを表す言葉をネット上で容易に見つけられるようになったと思います。

メールをもらって、名刺をもらって、人づてに話を聞いて、そんな風にして知った人のことをネットで検索してみることがよくあります。

FacebookやLINEなどのトップにある写真や、twitterのプロフィールなどから人をカテゴライズして、先入観で人を見ていることがあるなぁと。

 

ところで、映画では、拓人の所属していた学生劇団の先輩で上記発言者のサワ先輩が、小説版では描かれていない発言をします。

具体的には、ギンジと拓人が似ているというものです。

小説を読んでいた時はそう読んでいなかったので、少し意外な発言でした。

他にも、隆良の発言にもオリジナルのものがあり、こちらも意外でした。

小説と映画の両方を鑑賞されたみなさんは、どう感じられましたか?

 

「…内定って言葉、不思議だよな」

「誰でも知ってるでけぇ商社とか、広告とかマスコミとか、そういうところの内定って、なんかまるでその人が丸ごと肯定される感じじゃん」 

 

拓人と一緒に就職活動をしていた者の中からも内定者が出始め、物語は佳境を迎えます。

そこで、物語の真相(?)が明らかになっていきます。

 

映画版のCMでは、衝撃のクライマックスとされていたように思います。

夢オチとか、そういう類の衝撃ではないですが、一度目に読んだ時は、それなりにショックを受けました。

なお、映画では、里香を演じる、二階堂ふみさんの迫真の演技が観れます。真に迫っていて、怖かったです。

 

 

誰もが持っている自己顕示欲。それがスマホを使えば、言葉や写真で簡単に満たせる。

自己顕示欲の満たし方や段階も人それぞれで、他人の発信したものを見て、恥ずかしさのような感覚を覚えながら、同時に自分の発信がどう受け取られているかを想像する。

自分の発信はあいつのそれとは違う。そう言いたくて、抽象化した棘のある言葉で自分を守る。

小説を読みながら、映画を観ながら、自分を省みて恥ずかしくなる、そういう感覚が共感を生み、そこが面白いと感じたので、そこがウケているのかなぁと思います。

 

何者(新潮文庫)