私にみえている世界

こんにちは。

面白くて眠れなくなる社会学 感想

お疲れ様です。yasusususuです。

 

社会学とはなんだろう。大学生の時から疑問に思ってきたのですが、結局深く考えることもなく過ごしてました。

そうしていると出会ってしまったのです、この「面白くて眠れなくなる社会学」に。

この本の著者である橋爪大三郎先生の著書が面白いことは、ふしぎなキリスト教を読んで知っていたので、ノータイムでポチりました。

 

さて、いきなりあとがきの話になるのですが、橋爪先生は「この本の読者(多分中学生や高校生の皆さん)」 と書かれています。

私、大学院を卒業したサラリーマンです。

 

橋爪先生の本を以前に読んでいたので、レビューに、中高生向きの内容と書かれていても、私にとっては決して乗り越えた習得済みの知識ばかりであるとはとても思えませんでした。本当は、大学院を卒業しているのであれば、この本に書いてあることくらいは教養として知っておかなければならないのかもしれないですがね。

 

この本は、広く浅く、社会学の対象となる範囲に含まれるテーマを拾っていきます。

列記すると

言語、戦争、憲法、貨幣、資本主義、私有財産、性、家族、結婚、正義、自由、死、宗教、職業、奴隷制とカースト制、幸福、読書案内

の順番にテーマを扱っていきます。

 

各テーマがどのくらいの水準にあるかを推し量るために、私は、法律を専攻していたので、法律学のテーマであるところの憲法私有財産について読んでみました。

まず、憲法

冒頭から憲法は、手紙です。人民から国にあてた手紙。」と書かれていて、橋爪先生の表現力に舌を巻きました。

憲法民法や刑法と違い、国家権力を縛る国家の基本法であることを理解している、中学校高校を卒業した、大人が果たしてどのくらいいるのでしょうか。

憲法の項に書かれていることは、立憲主義憲法の歴史についてなのですが、ここまでの理解をした状態で、法学部を卒業した人は決して多数派ではないと思います*1

 

次に、私有財産

私有財産は、神聖なものであり、不可侵であるというテーゼは、憲法民法の教科書でよく見るところです。

しかし、それ以上の説明がない。偉い先生たちは、こういったことは、学生なら身につけているはずの当然の教養として説明をしてくれないのです。なぜ、神聖不可侵か*2

この本では、それがきっちりと説明してあるんですよね。しかも、わかりやすい。

私有財産の項で、橋爪先生は、私有財産と公共の利益は、矛盾しません。調和できます。その調和を考え出す知恵が、私有財産については求められると思います。」と問題提起されており、この問題提起と議論自体は、憲法の教科書に必ず書いてあることなので、本書の想定するレベルがあくまでも高校の学習から大学の学問への架橋段階であることがわかります。

しかし、法科大学院を出た私(一般の中高生、法学部生が上記のことを当然理解しているという可能性は捨象します。)がやっとよくまとまっているなぁと思えるレベルであり、本書のレベルは、決して中高生向けとは思えないです。あくまで、文章が読みやすく、とっつきやすいという点においてだけ、中高生向けという可能性を残していると考えます。

 

その他のテーマについて

皆さんは、社会主義共産主義の違いが説明できますか。

資本主義の条件はわかりますか。

なぜ、インドでは(一見近代的でなく排除されるべきもののように思える)カースト制度が今も残り続けているか説明できますか。

日本における神道と仏教、神道儒教の関係を説明できますか。

同じキリスト教なのにカトリックでは離婚が禁じられていて、プロテスタントでは離婚が禁じられていない、そのロジックが説明できますか。

一つでも説明できないことがあれば*3、本書を手に取ってみてください。必ず楽しめると私は思います。

 

さらに、職業の選び方や幸せになる方法など、非常に形式知化が難しいと思われ検証が難しいと思われるテーマについて橋爪先生の見解が示されていて、啓発にもなります。

 

眠れなくなるかは別として、とても面白い本だと思います。

 

面白くて眠れなくなる社会学

ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)

*1:私は法科大学院に入学した時点で、立憲主義とは何かと質問されたとしても、一言も話せなかったと思います。

*2:私が法科大学院に入学した時点で、法学士であるのにこの問いに答えられなかっただろうことは御察しの通りです。

*3:私のことはいいんです。もう。